飲食店の厨房には、排水に混じる油や食べ物のかすを受け止めるグリストラップ(グリース阻集器)が設けられているのが一般的です。普段は床下や厨房の隅にあり、気づきにくい設備ですが、清掃が滞ると悪臭、排水の詰まり、害虫の発生につながります。この記事では、店長やオーナーが知っておきたい管理の考え方を整理します。
グリストラップの役割と、放置したときに起きること
グリストラップは、厨房排水から油脂や固形物を分離し、排水管に流れ込む量を減らすための設備です。多くは複数の槽に分かれ、最初の槽でごみを受け、次の槽で油を浮かせて分離する構造になっています。
清掃を怠ると、次のような問題が起きやすくなります。
- 油脂やかすが腐敗して、厨房や店内にまで強いにおいが広がる
- 排水が流れにくくなり、厨房の床に水があふれる
- 油の溜まった場所にハエやゴキブリが集まり、衛生管理上の問題になる
- 排水管の詰まりで、営業を止めて修理を依頼する事態になる
においと害虫は、お客様の印象と衛生評価に直結します。ゴミ置き場の臭気と害虫については、ゴミ置き場・生ごみの臭気対策と害虫予防のための清掃管理でも整理しています。
日常の管理と定期の管理を分ける
グリストラップの管理は、毎日の作業と、定期的な作業に分けて考えます。
- 毎日の作業: バスケットに溜まった固形物の除去、浮いた油脂のすくい取り、蓋まわりの拭き取り
- 定期の作業: 槽内の汚泥や油脂の除去、槽の洗浄、内部の点検
毎日の作業は、閉店後の清掃のなかにスタッフが行う手順として組み込むと、実行の漏れが減ります。定期の作業は、店舗の規模や調理の内容、油の使用量によって適した周期が変わります。決まった周期を鵜呑みにせず、実際の溜まり方を見ながら見直していくのが現実的です。
廃棄物の扱いと依頼先の確認
グリストラップから出る油脂や汚泥は、通常のごみと同じ扱いにはできないことがあります。事業活動で出る廃棄物は、自治体のルールや廃棄物処理の法令に沿って処分する必要があります。自店で処分してよい範囲、専門の回収業者に依頼すべき範囲は、契約している廃棄物の回収業者や自治体の窓口に確認してください。
清掃を外部に任せる場合は、次の点を依頼前に確認します。
- 作業の範囲(槽内の洗浄まで含むのか、廃棄物の回収は別か)
- 汚泥や油脂の回収と処分を誰が行うのか
- 作業の時間帯と、営業への影響
管理の記録を残す
グリストラップの管理は、実施した日と内容を記録に残すことで、抜けを防ぎ、衛生管理の裏づけにもなります。簡単なチェックシートで十分です。
- 日付と実施者
- 実施した内容(固形物の除去、油脂のすくい取り、定期の洗浄など)
- 気づいた異常(においの強さ、水の流れの悪さ)
飲食店の衛生管理で記録を残す考え方は、飲食店のHACCP対応と衛生管理体制とも共通しています。
まとめ
グリストラップは目立たない設備ですが、においや害虫、排水の詰まりと直結しています。毎日の作業は店のスタッフが手順に組み込み、定期の作業は外部の専門業者も含めて計画的に行い、記録を残すことが管理の基本です。厨房周りの清掃を含めて業者に相談したい場合は、さくらクリーンの無料見積りもご利用ください。ただし、設備の修理や排水管の工事は、専門の事業者へのご相談をおすすめします。
新しく入ったスタッフにも伝わる手順書にする
グリストラップの作業は、においや汚れがあるため、担当が固定化して属人化しがちです。担当者が休んだ日に作業が抜け、翌週に強いにおいが出る、という流れは珍しくありません。
- 作業の手順を写真付きの簡単なメモにして、厨房の見える場所に置く
- 使う手袋、すくい取りの道具、廃棄物を入れる容器の置き場所を決める
- 作業後の手洗いと、道具の洗浄・保管までを手順に含める
清掃用具の保管と管理の考え方は、清掃用具・洗剤の管理と保管で整理しています。作業のばらつきを抑える教育の考え方は、清掃スタッフの教育・マニュアル作成のポイントも参考になります。
